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企業におけるプレイバック・シアターの実践と考察
企業におけるプレイバック・シアターの実践と考察~ プレイバック・シアターは企業に何を提供できるのか? ~
プレイバック・シアター研究所 主催 実践リーダー養成プロジェクト 第4期 卒業論文
富士ゼロックス株式会社 人事部人材戦略グループ 組織力強化センター 河野 朝子

—- プレイバック・シアターの成り立ち -

 プレイバック・シアターは、創始者であるジョナサン・フォックスとその妻のジョー・サラ、その仲間である劇団オリジナルプレイバックシアターカンパニーによって創られました。

 1974年、アメリカのコネチカット州で大学の非常勤講師をしていたジョナサンは、知人から子供向けの舞台劇を手伝うことを頼まれました。もともと演劇に興味のあった彼はこの試みに参加し、それが終わっても演劇活動を続けようと思います。

ジョナサンは、演劇界のナルシスティックな面や競争的な風潮に失望していましたが、自分の理想とする演劇のインスピレーションをすでに持っていました。古代から口づたえに伝承されてきた物語の中に、また、海外で出会った素朴な農村の儀式の中に、自分の探し求めている、即興的な、儀式的な枠組みと芸術性を見出していたのです。

 その年、ジョナサンは、“It’s All Grace(すべては神のめぐみ)”という名のグループを立ち上げ、知的障害者施設や教会などでパフォーマンスを行いました。
ほどなくして、彼にある考えがひらめきます。「観客からの実話を役者チームがすぐその場で再現する即興の劇をやってみよう!」

 1975年、ジョナサンは、ヤコブ・モレノが創出した心理劇「サイコドラマ」のトレーニングを受けるため、ジョーとともにニューヨーク州北部の町、ニューポルツに移り住みました。サイコドラマとは、演劇の枠組みと技法を用いた集団精神療法で、クライエントの抱える問題について、演技すなわち行動を通じて理解を深め、解決を目指していくものです。

ジョナサンは、この訓練を積むことで、どんな観客のストーリー(繊細なものや辛いもの)にも対応できる勇気と知恵を得ると同時に、その技法にとらわれずに独自の舞台芸術として発展させていく多くのヒントを得ました。

 同じ年に、ジョナサンとジョーは、この新しい形式の舞台を一緒に開拓していく仲間のグループをつくり、自分たちの活動を象徴する名前を決めました。それが、「プレイバック・シアター」です。彼らは、オリジナル・プレイバック・シアター・カンパニーという劇団名を名乗り、自分たちの自発性を頼りに、プレイバック・シアターの基盤を固めていきます。

 プレイバック・シアターは、アメリカ国内で順調に浸透していきました。1979年には、メルボルンの大学教授がジョナサンと劇団員をオーストラリアに招待し、それを契機に、海外にも一気に拡がっていきました。
日本では、1984年にジョナサンが初めて来日し、それ以来毎年ジョナサンによるトレーニングが日本でも開催されるようになりました。

 その後も、1989年にIPTN(International Playback Theatre Network:国際プレイバック・シアター・ネットワーク)の発足、1993年にニューヨーク州でスクール・オブ・プレイバック・シアターの設立、1998年にスクール・オブ・プレイバック・シアター日本校の設立と、精力的な活動が続いています。

 現在、プレイバック・シアターは、世界50ヶ国以上で多くのグループにより実践されています。主な活動の場は、企業、学校教育、地域社会などで、導入目的は、自己への気づきや癒し、自己表現教育、学校のいじめ防止、職場の対話促進、(海外では)問題地区での和解や相互支援など、多岐にわたっています。

 プレイバック・シアターでは、あらゆる人生の体験が語られます。その根底にあるのは、あなた自身、そしてあなたの個人的体験は注目される“価値がある”という考え方です。映画や商業舞台などの洗練された虚構の中より我が家で起こる出来事のほうが、私たちにとってはずっと身近です。

あなたのストーリーは、フィクションの脚本以上に芸術の対象としてふさわしく、誰かが関心を寄せ、そこから何かを学び、感動するかもしれないという可能性に、ジョナサンは着目したのです。
また、人に感銘を与える芸術的表現は、プロの役者だけが持つものではないということにも、ジョナサンは気づき、テクニック重視ではない劇のあり方を模索していきます。

 必要なのは、語り手を敬う気もちと共感する気持ち、そして遊び心。自分の内部だけでなく、周囲に対して意識を向けていくことで、人の心を打つ美しいものを生み出せる、これがジョナサンの追求した劇の姿です。

 歴史をさかのぼると、文芸演劇の伝統が生まれる以前の古代には、このような劇が存在していたそうです。ジョナサンは、プレイバック・シアターの冒頭で、「他人同士ではない、隣人同士の舞台劇」とよく言うそうですが、いわば、“人間回帰”の演劇といえるのではないでしょうか。

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目次案内
  第Ⅰ章 プレイバック・シアターとの出会い
   プレイバック・シアターとの出会い / プレイバック・シアターってどんな劇?

  第Ⅱ章 プレイバック・シアターの基礎知識
   プレイバック・シアターの成り立ち / バラエティに富んだ表現手法 / リチュアル(枠組み) / 肝心要のウォーミングアップ

  第Ⅲ章 企業における、プレイバック・シアターの実践
   実践リーダー養成プロジェクト / 実践活動の企画 / 集客活動 / 運営準備 / 当日の流れ

  第Ⅳ章 プレイバック・シアターの可能性 ~ プレイバック・シアターは企業に何を提供できるのか? ~
   企業での実践を終えて(参加者の反応と効果) / プレイバック・シアターに私が託したいこと / おわりに

  - 参考資料 -
   1.実践活動の企画書 / 2.チラシ-#1 (グリーン、片面) / 3.チラシ-#2 (ピンク、両面)
   4.実践記録 / 5.参加者用アンケートフォーム / 6.アンケート集計結果

  - 参考文献 -
   ジョー・サラ 著 『プレイバック・シアター 癒しの劇場』 (社会産業教育研究所、1997年)
   プレイバック・シアター研究所(羽地朝和、太田華子) 実践リーダー養成プロジェクト 合宿記録
   NPO法人プレイバック・シアターらしんばん アクティングコース ハンドアウト

Copyright 2006 © プレイバック・シアターらしんばん. All rights reserved.
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