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企業におけるプレイバック・シアターの実践と考察
企業におけるプレイバック・シアターの実践と考察~ プレイバック・シアターは企業に何を提供できるのか? ~
プレイバック・シアター研究所 主催 実践リーダー養成プロジェクト 第4期 卒業論文
富士ゼロックス株式会社 人事部人材戦略グループ 組織力強化センター 河野 朝子

—- リチュアル(枠組み) -

 プレイバック・シアターは、参加者の人生のあらゆる場面を扱っていきます。そこで語られたことは、誠意をもって、大切に扱われなければなりません。また、語られたものは、テラーが納得する形で返され、テラーを満たすものでなければなりません。

 そこで、テラーが安心して語れる場をつくるために、また、アクターも安心して演じられる場をつくるために、プレイバック・シアターには、「リチュアル(枠組み)」があります。
リチュアルとは、安全でしっかりとしたプレイバック・シアターを行うために必要な、プレイバック・シアターを構成している枠組み、それを表現する様式、約束ごと、手順などのさまざまな要素をさします。

 これらは、プレイバック・シアターが大切にしている価値観、哲学を表すものであり、その場に参加する人の態度、行動、リズムなどの非言語的コミュニケーションによって伝えられます。

 以下にリチュアルがもたらす、さまざまな効果をあげてみましょう。

【リチュアルがもたらす主な効果】
 ・同じ考え方を大切にしていることが暗黙のうちにわかるため、安心な場を得られる
 ・共通の認識をもてるため、お互いに理解と協力がしやすい(意図が伝わりやすい)
 ・参加者のストーリーを大切に守れる
 ・表現において、進歩、発展、変化がわかる/つけられる
 ・日常と非日常を区別できる

  次に、主なリチュアルについて、いくつかのカテゴリーに分けて示します。

【プレイバック・シアターの主なリチュアル】
1.舞台では・・・
 ・観客席、コンダクターとテラーの席、舞台とで、明確な区別がある(日常と非日常を区別する)
 ・各役割の位置が決まっている(秩序を保つ)
 ※コンダクターは左端、アクターは中央奥、ミュージシャンは右端が基本位置
 ・テラー席が、観客側から見てコンダクター席の奥に設けられる(安全性を確保する)
 ・小道具の色布と、演出を助ける楽器だけが用意される(アクター自身の表現を基本とする)

2.テラーは・・・
 ・その場にいる人から募る
 ・自分の意志で申し出る(他者に強制されない)
 ・自分の体験を語る
 ・どんなストーリーを語っても尊重される
 ・自分の判断で話したいことだけを語る(すべて話すことを強制されない)
 ・アクターを自ら選ぶ(用意されたアクターから選ぶ場合と観客の中から選ぶ場合がある)
 ・必ず自分自身の役(テラーズアクター)も選ぶ
 ・自分では演じずに、テラー席から劇を観る

3.アクターは・・・
 ・演じることが無理だと思ったらパスできる
 ・人物だけでなく、モノや動物にもなれる
 ・役が与えられなかった場合、ストーリーの効果を高める役を自由につくって演じてよい
 ・テラーに質問しない
 ・テラーとコンダクターの会話を誠実に傾聴する
 ・打ち合わせをせず即興で、お互いに協力しあって演じる
 ・演技を途中で止めない
 ・演じ終わったら、テラーに返す(演じ終わった気持ちをこめて、テラーを見る)

4.コンダクターは・・・
 ・テラーを歓迎し、勇気づけ、受容する
 ・テラーのペースに合わせて質問する
 ・テラーに共感し、言いたいことをくみ取る
 ・ときにテラーに提案をするが、指示はしない
 ・アクターが演じることを考慮して、主題と状況設定、登場人物の心情などを明確にする
 ・アクターの習熟度に応じて、聞きだす情報量を調整する(自由度の度合)
 ・アクターが演じやすいように、ストーリーを要約する
 ・観客の状態にも配慮する(視線を向ける、インタビューを長引かせないなど)
 ・劇が始まったら、終わるまではアクターを信頼して委ねる
 ・演技が終わったら、テラーに印象をたずね、必要に応じて劇を修正する
 ※修正とは、テラーが劇に違和感を持って修正を望んだ場合、
   または、事実とは異なる結末を見てみたい場合に、形を変えて再度劇を行うこと

5.ミュージシャンは・・・
 ・劇のはじまりと終わりを示す合図を音で送る
 ・ストーリーの効果を高めるための音楽を奏でる
 ・過度な演奏をしない

6.観客は・・・
 ・テラーが出たとき、劇が終わったときなどに拍手をして関心を示す
 ・テラーのストーリーを静かに聴き、劇を熱心に観る  
 ・劇を途中で妨げない

7.小道具については・・・
 ・布は、登場人物の役割や心情、モノ、情景などを象徴するための道具として活用する
 ・アクター自身のひらめきにしたがって自由に活用する(まったく活用しなくてもよい)

 このように、プレイバック・シアターでは、リチュアルがあることによって、暗黙のうちに、そこにいる全員が安心して気持ちよく参加できる環境が保たれているのです。

 ・Next 肝心要のウォーミングアップ>>

目次案内
  第Ⅰ章 プレイバック・シアターとの出会い
   プレイバック・シアターとの出会い / プレイバック・シアターってどんな劇?

  第Ⅱ章 プレイバック・シアターの基礎知識
   プレイバック・シアターの成り立ち / バラエティに富んだ表現手法 / リチュアル(枠組み) / 肝心要のウォーミングアップ

  第Ⅲ章 企業における、プレイバック・シアターの実践
   実践リーダー養成プロジェクト / 実践活動の企画 / 集客活動 / 運営準備 / 当日の流れ

  第Ⅳ章 プレイバック・シアターの可能性 ~ プレイバック・シアターは企業に何を提供できるのか? ~
   企業での実践を終えて(参加者の反応と効果) / プレイバック・シアターに私が託したいこと / おわりに

  - 参考資料 -
   1.実践活動の企画書 / 2.チラシ-#1 (グリーン、片面) / 3.チラシ-#2 (ピンク、両面)
   4.実践記録 / 5.参加者用アンケートフォーム / 6.アンケート集計結果

  - 参考文献 -
   ジョー・サラ 著 『プレイバック・シアター 癒しの劇場』 (社会産業教育研究所、1997年)
   プレイバック・シアター研究所(羽地朝和、太田華子) 実践リーダー養成プロジェクト 合宿記録
   NPO法人プレイバック・シアターらしんばん アクティングコース ハンドアウト

Copyright 2006 © プレイバック・シアターらしんばん. All rights reserved.
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