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企業におけるプレイバック・シアターの実践と考察~ プレイバック・シアターは企業に何を提供できるのか? ~
プレイバック・シアター研究所 主催 実践リーダー養成プロジェクト 第4期 卒業論文
富士ゼロックス株式会社 人事部人材戦略グループ 組織力強化センター 河野 朝子
- 実践活動の企画 -
エルプロがスタートしたときから、ゆくゆく実践するときの場は、「企業」と決めていました。しかも、大胆なことに、私自身が勤める企業で開催しようと心に決めていました。
それは、この感動を私の職場の仲間にも味わってほしいという純粋な気持ちと、人材教育に携わる仲間がプレイバック・シアターの可能性をどう受け止めるかを是非参考にしてみたいという意図からです。
私の職場は、富士ゼロックスのグループ企業で、グループ内外の多くの企業に対し、人材開発分野のコンサルティングや社員研修プログラムを提供している会社です。
研修プログラムの中には、プレイバック・シアターのように、お互いの人生や価値観、日常のある場面を分かち合う演習が含まれるものが少なからずあり、根幹ではどこかつながっているように感じています。
たとえば、自分と職場を表す絵をクレヨンで描いて紹介し合う演習や、自分の人生の道しるべを表にまとめて語り合う演習などがあり、ここでは、劇こそ演じないまでも、お互いの過去の経験や現在の状況を分かち合っています。
また、相手のビジョンをインタビューする/インタビューにそってビジョンを語るという演習は、まさに、テラーとコンダクターの関係性です。
さらには、ある部下の育成計画をマネジャー役と部下役になりきって話し合うロールプレイ(通常着座で実施)となれば、立ち居振る舞いをする舞台はなくてもまさに即興劇です。“主役”は、演習を通じた自己表現の中で、今まで気づかなかった自分の側面や価値観を再発見できるのです。
社員研修では、このような演習により、自己理解(※1)と他者理解(※2)をベースに、自分自身の可能性を広げるような気づきを促し、チーム(職場)全体を活性化させるコミュニケーション能力を高めたり、将来のキャリアビジョンを描き出したりしています。
これらの研修プログラムが目指しているものは、一人ひとりの多様な“持ち味”や“らしさ”を互いに認め合い、信頼しあい、協力しあって、ともに新しい価値を創造できる人間関係づくりです。
このような価値観とプレイバック・シアターが目指すものには何ら違いがないというのが私の考えであり、私は、企業における実践の場でこれを確かめようと思いました。
※1 自己理解=自分の価値観・動機や行動傾向をあらためて見つめ直すこと
※2 他者理解=お互いの価値観・考えを知り合ったり、お互いへの印象を交換したりすること
そこで、この体験ワークショップでは、企業の人材開発のプロである仲間たちに、先入観なくプレイバック・シアターを体験してもらい、企業での実践についての有益な意見を幅広く収集しようと考えました。それは、彼らの体験後の率直な感想と、それをベースに彼らが考える、企業導入の具体的なアイデアや、実践にあたってクリアしなければならない課題、阻害要因などの情報です。
その主旨にそって打ち出した実践の企画概要が表3です。
【表3:実践の企画概要】
項 目 |
内 容 |
場の形式 |
ワークショップ (全員参加型) |
目 的 |
1.教育会社で働く人に、「自分の気持ちに気づく、自分らしさを知るための新しいアプローチ」としてプレイバック・シアターを紹介し、純粋に楽しんでもらう。
2.終了時のアンケートにより、参加者の感想や意見を収集し、今後の企業研修での実践を検討する材料とする。 |
日 時 |
2009年1月23日(金)19:00~21:00 受付 18:45~ ※運営スタッフは17:00集合 |
会 場 |
㈱富士ゼロックス総合教育研究所(FXLI) セミナールーム ※私の勤務先 |
対象者 |
FXLIで働く人(正社員、派遣社員とわず) |
※企画書については、巻末の参考資料1を参照
続いて、実践当日までの全体スケジュールを表4に示し、個々の取り組みについて振り返ります。
【表4:実践までのスケジュール】
時期 |
取り組み内容 |
2008年9月 |
エルプロ合宿第5回(大分にて)で、実践の目的とイメージを明確にする
形式はワークショップとし、日程を1月23日(金)の夕方に決定する |
2008年10月 |
ワークショップ開催日の会場を17:00~21:00まで確保する |
2008年11月 |
第4期の仲間の実践を支援する:都内中学校の授業 |
2008年12月
12月14日
12月20日
12月24日
12月30日 |
羽地先生のアドバイスのもと、2時間のワークショップの内容を決める
集客のチラシ-#1 と企画書を作成し、エルプロメンバーに配信し支援を依頼する
第4期の仲間の実践を支援する:小学生とのワークショップ
集客のチラシ-#1を社内掲示板に貼り、自部門にはメールで配信する
年内に1人も応募なし |
2009年1月
1月5日
1月11日
1月12日
1月21日
1月22日
1月23日
1月25日
|
企画そのものと集客方法を見直し
羽地先生のさいとうクリニックのワークショップのお手伝い
羽地先生にコンダクティング協力の了承を得る
支援してくれるメンバーとの事前打ち合わせ
集客のチラシ-#2を作成し社内掲示板に貼る、興味のありそうな人に個別に声をかける
個別の声かけが奏効し、順調に集客が進む
アンケートフォームの作成
前日までには18名の申込みを確保する
当日の17:00~18:00までスタッフ同士の打ちわせとウォーミングアップ
最終的に17名の参加でワークショプを運営する(当日、1名が病欠)
終了後、会食とともに振り返り
後日アンケートの回収 |
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第Ⅰ章 プレイバック・シアターとの出会い
プレイバック・シアターとの出会い / プレイバック・シアターってどんな劇?
第Ⅱ章 プレイバック・シアターの基礎知識
プレイバック・シアターの成り立ち / バラエティに富んだ表現手法 / リチュアル(枠組み) / 肝心要のウォーミングアップ
第Ⅲ章 企業における、プレイバック・シアターの実践
実践リーダー養成プロジェクト / 実践活動の企画 / 集客活動 / 運営準備 / 当日の流れ
第Ⅳ章 プレイバック・シアターの可能性 ~ プレイバック・シアターは企業に何を提供できるのか? ~
企業での実践を終えて(参加者の反応と効果) / プレイバック・シアターに私が託したいこと / おわりに
- 参考資料 -
1.実践活動の企画書 / 2.チラシ-#1 (グリーン、片面) / 3.チラシ-#2 (ピンク、両面)
4.実践記録 / 5.参加者用アンケートフォーム / 6.アンケート集計結果
- 参考文献 -
ジョー・サラ 著 『プレイバック・シアター 癒しの劇場』 (社会産業教育研究所、1997年)
プレイバック・シアター研究所(羽地朝和、太田華子) 実践リーダー養成プロジェクト 合宿記録
NPO法人プレイバック・シアターらしんばん アクティングコース ハンドアウト |