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企業におけるプレイバック・シアターの実践と考察
企業におけるプレイバック・シアターの実践と考察~ プレイバック・シアターは企業に何を提供できるのか? ~
プレイバック・シアター研究所 主催 実践リーダー養成プロジェクト 第4期 卒業論文
富士ゼロックス株式会社 人事部人材戦略グループ 組織力強化センター 河野 朝子

- プレイバック・シアターに私が託したいこと -

 バブル崩壊後の混沌とした“失われた10年”、そして、ITバブルが過ぎ去り、ようやく景気も底入れしたかに見えたのも束の間、2008年秋口からの急速な世界同時不況に直面する日本企業。私たちは、これから、どこへ行こうとしているのでしょうか?

 この間に、企業は、人類史上最も大きいともいえる技術革新を経験しました。インターネットの普及です。このテクノロジーは、メール、携帯電話という新しい通信手段と相まって、地球上での瞬時の情報交換を可能にし、既存のビジネスの枠組みを根底から大きく転換させてしまいました。
あるジャーナリストが「世界はフラットだ」と言い表すとおり、企業は、今や、地域格差の既得権に甘んじることの許されない、地球規模の競争でしのぎを削る様相を呈しています。

 もっと無駄を省き、もっと生産性を向上させるためにと、企業は、幾度となくリストラを繰り返し、企業体力を維持してきました。日本の雇用環境は、非正社員化、脱年功化、流動化の一途をたどり、日本型終身雇用は事実上解体していきました。

 人件費抑制施策優先の財務偏重型対応によって、確かに日本企業の財務基盤は盤石になりました。しかし、果たして、そこにいる人の力、組織の力も強化されたと言えるのでしょうか?

 リストラによって従業員一人あたりの業務量は増加し、昨今のコンプライアンス対応やセキュリティ対応もそれに拍車をかけました。
同時に、効率を追求するあまり細分化された組織は、会社全体のことが見えづらく、ただ目の前の山積みの仕事に没頭するような“個室化現象”を促進しました。

 また、就職氷河期で行った採用抑制は、企業の人員構成をいびつにし、今や第一線で活躍してほしい30代の中堅社員不足を引き起こしました。その結果、その穴を新人や若手とマネジャーが自転車操業でカバーするという無理な状況を生み出しました。
自ずとプレイングマネジャーが増加し、マネジャーの疲弊、チームワークの悪化、OJTの機能不全、、、あげたらきりのないほど組織の課題が噴出してきています。

 そのような雇用環境で、今、多くの社員は、自分にとっての仕事の意義や働き甲斐を見失い、モチベーションを落としています。さらに深刻なことには、身体ばかりでなく、精神面に支障を来たす人まで増えています。

 平成19年度国民生活白書に掲載された職場の人間関係の実態では、7人に1人が職場に相談相手がいない、深い付き合いを望まない人が増加傾向にある、職場の人と飲み会に頻繁に行く人は少ないということが報告されています。
以前、日経新聞でも記事がありましたが、この過酷な労働環境の中で、職場の人間関係は、あきらかに“希薄化”してきているのです。

 相手のこと(バックグラウンド)を深く知る機会が減り、それを知るための時間が減り、それに慣れてしまうと、やがて相手のことを知ろうともしなくなり、お互いに無関心になっていく危機的な状況。タスク中心で回っていく企業のどこに生き甲斐が感じられるでしょうか?仕事は生活のため、と割り切ってしまえばそれまでですし、会社だけが人生でないことは確かです。

しかし、一日の大半の時間を過ごす会社の中の人間関係に価値を見出せなかったとしたら、そこで働く一人ひとりの成長と豊かな人生を考えたとき、とてももったいないことだと思うのです。

 人は、機械ではありません。人との関係性の中で、人としての感性を磨き、より良いものを生み出すプロセスにおいて創造性を発揮し、成長していくものと思います。
企業の組織を単なる“労働力を動かすしくみ”ととらえるのではなく、“自分が磨かれる、人のつながりの束”ととらえて、お互いの気持ちを通わせ、もっともっと分かち合うことができたら、より付加価値の高いものをともに生み出すことができるのではないでしょうか?

 希薄化してしまった職場の人間関係を取り戻すための一つのアプローチとして、私は、このプレイバック・シアターに注目しています。

 人が本来もっている、相手の中の目に見えないものを感じとる力、相手と想像の世界でつながることができる力、ひらめきを瞬時に分かち合える力は、インターネットの能力以上の大きな可能性を秘めているのではないかと私は強く感じています。

 普段、誰もが何気なく生活している中でこの力を使っているのですが、何でも“見える化”されていく企業の中にあっては、徐々に目に見えるものしか追わない、信じないようになってきてしまっているようです。

 このような力を全身全霊で感じとり、あらためてその価値を再認識できる場が、プレイバック・シアターだと思います。
そこで、私は、これをライフワークと決め、企業の中で実践する道を今後も模索して行きます。

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目次案内
  第Ⅰ章 プレイバック・シアターとの出会い
   プレイバック・シアターとの出会い / プレイバック・シアターってどんな劇?

  第Ⅱ章 プレイバック・シアターの基礎知識
   プレイバック・シアターの成り立ち / バラエティに富んだ表現手法 / リチュアル(枠組み) / 肝心要のウォーミングアップ

  第Ⅲ章 企業における、プレイバック・シアターの実践
   実践リーダー養成プロジェクト / 実践活動の企画 / 集客活動 / 運営準備 / 当日の流れ

  第Ⅳ章 プレイバック・シアターの可能性 ~ プレイバック・シアターは企業に何を提供できるのか? ~
   企業での実践を終えて(参加者の反応と効果) / プレイバック・シアターに私が託したいこと / おわりに

  - 参考資料 -
   1.実践活動の企画書 / 2.チラシ-#1 (グリーン、片面) / 3.チラシ-#2 (ピンク、両面)
   4.実践記録 / 5.参加者用アンケートフォーム / 6.アンケート集計結果

  - 参考文献 -
   ジョー・サラ 著 『プレイバック・シアター 癒しの劇場』 (社会産業教育研究所、1997年)
   プレイバック・シアター研究所(羽地朝和、太田華子) 実践リーダー養成プロジェクト 合宿記録
   NPO法人プレイバック・シアターらしんばん アクティングコース ハンドアウト

Copyright 2006 © プレイバック・シアターらしんばん. All rights reserved.
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