今日のつぶやき

羽地朝和への逆1on1③〜管理職研修〜

2022年06月21日火曜日 くじら

【羽地朝和インタビュー】スタッフが社長に15分1on1をしてみる③「管理職研修」

 

近年、組織開発のなかで部下の成長を促す方法として注目される1 on 1。
この企画では、それを立場を反転させて行うことを試みます。そのようすをインタビュー記事にしたものです。

話し手:
羽地朝和(プレイバック・シアター研究所所長・コンダクター・研修講師)

聞き手:
向坂くじら(プレイバック・シアター研究所スタッフ・詩人)

 

フルバージョン(note)はこちら↓(無料)

https://note.com/playbacktheatre/n/n7a255f1386c7

 

教育の成果は、単に目的を達成したかどうかだけでは測れない


―なんか、ちょっと意地悪な質問な気もするんですけど。
研修には、ひとつひとつ目的があるんですよね。ハラスメントの防止であったり、管理職や新入社員の育成であったり。
そういう目的が達成されたかどうかは、羽地さんから見て確認できるんですか? その大きな目的とはまた別の軸で、「今日の研修はよかったな」っていうこともあるとは思うんですけど……。

僕にできる確認は、三つありますね。研修内で参加者のみなさんに「今日学んだこと」を発表してもらうと、まずはそこから推察できます。研修が終わった後に、アンケートの結果を見せてもらうこともあります。それからもうひとつ。クライエントから、「去年の研修がすごくよかったからまた今年もお願いします」と依頼をいただける。それはひとつの評価かな、僕の場合はそれが多いね。僕が研修の目的を達成できたと感じられるのはそういうところかな。

でも、たとえば学校の先生とかもね、もちろん合格したしないもひとつの評価ではあるけれど、それはあくまでたくさんある中のひとつに過ぎないと僕は思うの。受験に落ちてしまった生徒は先生たちにとっては単なる失敗なのか、と言うと、そういうことではないよね。受験の合否とはまた別に、「長い人生の中で役に立つことを学校の中で学べたかどうか」っていう軸もある。
僕は、中学高校が長崎の学校なんだけど、卒業して二十年以上経った後、プレイバックをやるために長崎に帰ったことがあって。そのとき母校にもちょっと行ったの。私立で先生に異動がないから、まだちゃんと自分が習った先生たちがいて。
で、「こんなことやるんです」って話したら、先生たちがみんなプレイバックを観に来てくれてさ。いまの生徒にも話してくれたり、ある先生の娘さんは地元のテレビ局のアナウンサーをやってるらしくって、その娘さんまでわざわざインタビューに来てくれたり。
そういうのを見ると、やっぱり先生って言う職業はすごいなあと思う。二十年経ってもこの先生達は、僕たち教え子のことを本当に大事にしてくれている。だから、受験でいい学校に合格するだけが先生達の成果じゃないっていうか。そのとき僕を見た先生達が、たぶん、喜んでくれていたのを見て、「教え子の大人になった姿を見ることが、先生たちにとってひとつの成果なんだな」って、そのとき逆に感動した。この人たちはそういうところに生きがい、やりがいを感じてるんだと言うのを肌身で感じて、感動しましたね。

―教え子の立場に立ってみて、そう思えたということですね。

くじらちゃんも、これから子どもを育てる仕事をするわけだよね。それも、受験の合否みたいな単純な成果じゃないよね、もっと大きなことを多分やってる、やろうとしているんだと思いますよ。なんか、「大人になることを信じる」っていうのかな。くじらちゃんの関わった子どもたちが、大人になること、社会に出ることを信じられるようなことを、くじらちゃんはたぶんやろうとしてるんだよね。
僕がいまの時代に残念に思っているのは、やっぱり今の若い人たちや子どもたちは、どうも大人になることとか社会に出ることを恐れてしまったり、不信感を持ってしまったりする。そう思わせてしまう社会であるということが残念だよね。そこを信じられるようなこと、一緒にそういう実感を持ってもらえることが多分、くじらちゃんみたいに子どもたちを教える人たちが今できることじゃないかと僕は思うんだよね。

上の世代の「一生懸命さ」が空回りしないためのお手伝い


―少し話がずれてしまうかもしれないのですが、前々から羽地さんに聞いてみたかったことがあって。子どもと話すこと、子どもに教えることに、わたしはすごいリアリティを感じるんです。自分がやる姿を想像できるという意味でのリアリティもそうだし、子供が感覚している世界のほうに、大人の人としゃべっているよりもはるかにリアリティを感じるんですよね。それで、羽地さんがやっている管理職研修とか、ハラスメント研修をそばで見させていただいて、いつもすごいなあと思っているんです。そういう大人の方に向けた教育というのは、わたしにとってはすごく遠い、掴みがたいことのように感じてしまうのですが、羽地さんにとってはどうなんでしょうか。めちゃめちゃアバウトな質問になってしまいますが。

管理職の方や、会社を経営されている方にも、たぶんいろいろな苦労や大変なことがあると思うんです。もちろんそれだけじゃなくて、やりがいもある。そんなことを少しお手伝いすることが僕の仕事だと思っているの。
上の世代の方たちの多くは、その方たちなりの立場で一生懸命やっている。ただそのときに、良かれと思って昔のやり方のままやってしまう。けれどもそれを今やっても通用しない、的外れになってしまうことも多い。いま、そのことに直面して、戸惑っている管理職が多いんです。

―いまは通用しなくなったやり方というと、例えばどういうやり方のことですか?

 

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https://note.com/playbacktheatre/n/n7a255f1386c7