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企業におけるプレイバック・シアターの実践と考察
企業におけるプレイバック・シアターの実践と考察~ プレイバック・シアターは企業に何を提供できるのか? ~
プレイバック・シアター研究所 主催 実践リーダー養成プロジェクト 第4期 卒業論文
富士ゼロックス株式会社 人事部人材戦略グループ 組織力強化センター 河野 朝子

—- 集客活動 -

 スケジュールを見ての通り、12月前半に企画書をまとめあげ、エルプロメンバーに協力依頼をするところまでは順調でした。
ところが、自分としては、なかなかの出来映えと思っていたチラシ-#1がまったく効果を発揮せず、年内の参加申し込みが0人となりました。クリスマスや年末の慌ただしさも理由だと思われましたが、次の一手を打つ必要性を感じました。

 年明け早々、企画そのものとチラシを練り直し、チラシ#2によるさらに強力な集客を本番の9日前から開始しました。その結果、当初の心配を跳ねのけて、17名もの参加者が集まり、無事にワークショップを迎えられたのです。

 ここでは、年内の集客活動をフェイズ1、年明けの集客活動をフェイズ2として表で比較しながら、フェイズ1の失敗要因と、フェイズ2の成功要因として私の考察をまとめます。

【表5:集客活動の比較】

 

フェイズ1

フェイズ2

集客期間

12/24~1/12(9営業日)

1/13~1/22(8営業日)

活用したチラシ

チラシ#1

チラシ#2

ページ数

1枚 (片面印刷)

2枚 (両面印刷)

グリーン系

ピンク系

チラシ:タイトル

プレイバック・シアター体験ワークショップ

羽地朝和先生による
ファシリテーションスキルアップ・ワークショップ

チラシ:サブタイトル

“自分らしさ”に気づく新しいアプローチ

相手を感じる、相手と通じ合う“感性”を軸とする新しいファシリテーション手法の体験

チラシ:主文の要点

私のライフワーク、気軽に体験、
学校教育や企業研修にも取り入れられている手法、純粋に楽しめる場の提供

“即興”によるコミュニケーション
「考える」だけでなく“ひらめき”にもとづいて「感じる」「表現する」ことを磨く
ファシリテーションスキルの新しいレシピ
チューニング、ミラーリング、シンクロニシティ

チラシ:掲載情報

・開催概要
・プレイバック・シアターとは?

・開催概要
・ワークショップの流れ
・羽地先生のプロフィール
・プレイバック・シアターとは?

チラシ:その他

なし

・自社の業務を例にとり、それと比べたユニークな点を強調
・語り手や役者は強制されないことを付記

集客方法

・社内掲示板への貼付
・部門内へのメール配信

・社内掲示板への貼付
・部門内へのメール配信
・興味のありそうな人に個別の声かけ


※チラシ-#1、#2については、巻末の参考資料2と3を参照

【集客活動の失敗要因と成功要因】
1.フェイズ1のチラシで失敗した要因:
 ・即興劇という珍しさから、みな関心を持ち集客はすぐできるはずと思いこみ、油断していた。
 ・“気づき”などのアプローチにはある程度慣れている対象者には、インパクトが薄かった。
 ・「教育」という言葉とグリーン系の色から、やや固いイメージを与えたのかもしれない。
 ・未経験者には具体的な内容がわからず、参加価値を判断しづらいものとなっていた。
 ・主催者=運営者が私ということで、オーソリティ/信頼性が十分でなかった。
 ・社内の人が開催する場に対する照れや警戒感があったかもしれない。
 ・掲示板への貼付とメール配信のみで、個別案内はほとんどとらなかった。

2.フェイズ2のチラシと個別勧誘が成功した要因:
 ・私が運営者のままでは集客が不足すると判断し、羽地先生にコンダクティングをお願いした。
 ・羽地先生のオーソリティを活用(タイトルにお名前を挿入)したチラシに作り変えた。
 ・社内でなじみがあり、即興性にも通じる「ファシリテーション」という言葉をタイトルに据えた。
 ・感性、即興、ひらめき、チューニング、ミラーリング、シンクロニシティなどを全面に出した。
 ・気分がやわらぐピンク系の色に変えた。
 ・当日の流れを表にし、具体的な中身を見せることで安心感を与え、興味も喚起した。
 ・運営を行う羽地先生のプロフィールを載せることで、第一人者が来るということをアピールした。
 ・案内文で、自社業務との関連部分をとりあげ、それとの違いを明確にすることで興味喚起した。
 ・語り手や役者は強制されないことを強調し、「観てるだけでもいいなら」という人を取り込んだ。
 ・興味がありそうな人に個別に声をかけた。

 チラシの構成によってこんなにも反応が違うものかと驚きました。いかに社内とはいえ、マーケティングの原理原則を大事にすべきということを痛感したものです。

  その原理原則とは、まず、ターゲットを絞ること、そして相手の特徴をおさえたうえで手を打つことです。今回の事例では、相手のバックグラウンド(職業、日頃の行動パターン、テーマの認知度・習熟度など)、関心事(ニーズ)、恐れ(こちらが期待する行動をとってもらうときの阻害要因)などの特徴を考慮した結果、チラシ#2が出来上がったわけです。

 逆にいえば、ターゲットを絞らず、誰でも来てくれたらよい、というのが一番手の打ちようがなく、神頼みにならざるを得ないでしょう。

 さらに印象に残ったことは、“口コミ”の威力です。思い切って声をかけてみると、「チラシはすでに見ていてなんとなく気になっていた」という状態の人が少なからずいました。気になりながらも検討を先延ばしにしていたり、日が近くなって都合があったら参加しようと思っていたり。
このような人たちは、直接対話することにより、かなりの確率で参加を即答しました。

 考えてみれば、チラシは、紙のうえに情報が載っているだけ。そこから何をイメージできるかは、受け手の過去の経験知と先入観に左右されます。よって、直接対話を通じ、「こんな感じなんだよ」と文字だけでは伝わらない「場の雰囲気」を口伝することが重要だと感じました。
こちらがそれを楽しんでいるエネルギーが伝われば、それに同調する人の多くは自然に引き寄せられるのです。

 逆にいえば、「この人は乗って来そうだ!」とこちらが思い当たる人というのは、過去にその人から受け取った何らかのサインがあったはずで、以外とその勘は当たるものだと感じました。 

また、口伝には、相手の反応を見ながら情報量を調整できたり、相手の誤認をその場で修正して動機づけたりできる利点もあります。原始的で労力はかかる方法ですが、試す価値は高いといえるでしょう。

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目次案内
  第Ⅰ章 プレイバック・シアターとの出会い
   プレイバック・シアターとの出会い / プレイバック・シアターってどんな劇?

  第Ⅱ章 プレイバック・シアターの基礎知識
   プレイバック・シアターの成り立ち / バラエティに富んだ表現手法 / リチュアル(枠組み) / 肝心要のウォーミングアップ

  第Ⅲ章 企業における、プレイバック・シアターの実践
   実践リーダー養成プロジェクト / 実践活動の企画 / 集客活動 / 運営準備 / 当日の流れ

  第Ⅳ章 プレイバック・シアターの可能性 ~ プレイバック・シアターは企業に何を提供できるのか? ~
   企業での実践を終えて(参加者の反応と効果) / プレイバック・シアターに私が託したいこと / おわりに

  - 参考資料 -
   1.実践活動の企画書 / 2.チラシ-#1 (グリーン、片面) / 3.チラシ-#2 (ピンク、両面)
   4.実践記録 / 5.参加者用アンケートフォーム / 6.アンケート集計結果

  - 参考文献 -
   ジョー・サラ 著 『プレイバック・シアター 癒しの劇場』 (社会産業教育研究所、1997年)
   プレイバック・シアター研究所(羽地朝和、太田華子) 実践リーダー養成プロジェクト 合宿記録
   NPO法人プレイバック・シアターらしんばん アクティングコース ハンドアウト

Copyright 2006 © プレイバック・シアターらしんばん. All rights reserved.
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